2013年9月14日土曜日

英訳からの独語訳?!

私のMoon and Bloodてマンガ(Kindleで日本語版頒布してます)のドイツ語版翻訳作業が現在行われてるんですが、それの元テキストが、英語訳のものであるという驚愕の事実が判明!

事の発端は…
アメリカの出版社Digital Manga Publishingが、そこのDMG(Digital Manga Guild)と言うシステムを使って多言語展開していこうってプロジェクトがある。

DMGてのは、プロダクション過程を担当するギルド(Guild)てグループを公募して、翻訳編集作業を外に完全委託してしまうって事。今までも、DMPは社内で処理することはあまりなくて、外に回していたのだけれど、ギルドの場合、報酬は売り上げ印税から支払われる。だから売れれば儲かるけど、殆どタダ働きという事だって、ありうるわけだ。

フリーランスのプロも携わっているかもしれないけれど、アマチュアも多い。スキャンレーターからの転身組とか。DMPで応募者のクオリティーチェックをするから、品質は担保されてる…のだそうだ。

で、そのラインナップの一端を当方のMoon and Bloodだの真空地帯だのが担って、ドイツとイタリアでの展開が決まっている、そうだ。(韓国も、といわれていたけど、コレは担当者が辞めてダメになったのだとか。屋台骨は細そうだね)

DMPが翻訳者を募っていたのを知っていたので、元スキャンレーターの友人(前にブログに書いた、愛しのEちゃん)を紹介したら、そのまま採用になったようで、彼女が私のタイトルを担当してくれることになった。

翻訳って、難しい作業だから、信頼できる人に担当してもらえるとありがたい。不確かなことがあれば聞いてくれるだろうし。特に、英語以外だと、誤訳とか、びっくり解釈がなされても判りようがないから。英語と同じくらいの頻度であるとすれば、かなりある。てか、ドイツ語分からない自分が見ても「やっちまった」、と思う部分があったりするんであるよ。
(ウェディングピーチと真空地帯で体験)

したらびっくり、Eちゃんに渡されたのは英語テキスト版の方だったんである。おまけに、EちゃんのFB投稿で、その状況を知る自分^^;

Never ever translate from one language into another via a third one ... it NEVER works out right.
In my case I'm supposed to translate a text from English to German, the original being in Japanese. 
by E-chan

確認したら、DMPとして権利を持っているのは「英語版」のみなので、翻訳者は英語-他国語、英語版からの翻訳になるのだそうだ。それって…「聞いてないよ」だ。

他意はないのだろう。特に断る必要があるとは思わなかったのだ。しかし、この「思わない」ってのが問題ナンデアル。

日本語→英語→○○語に伝言ゲームをしたらどうなるか。学術論文ではない。情緒的な、文化的バックグラウンド山盛りの会話文だ。特にマンガのように、短い台詞にいろんな意味やフリを含ませている場合…。いつ誰がどこで何をしたか、ソレは変わらないだろうけど、情緒面では明後日の方を向いている、てな事になりかねない。原型はとどめているけど、それだけの、なんてーか…ゾンビ?(わあこわい)

英語に翻訳される段階で、「置き換えられない」「対応する概念がない」などの事情で、かなりの情報が削られている。翻訳者の誤解もある。(DMPのタイトルに関しては、チェックはしているけれど、もれているもの、私の歯が立たなかったものも当然ある)。翻訳者によって付け加えられた新たな解釈だってあるだろう。

そりゃ仕方がないことなのだ、翻訳作業で、それは避けられないものだろうから。

でも、それを原本として、更に別の文化に置き換えたら?そりゃあなた、意味は通るけど、うーんていう結果になりますよ。下手すりゃ意味も通らなくなるかも。

そこんとこが、いかにマンガという表現方法にとって大きな問題なのか…、その辺共有できていない、ソレが問題。

あとは台詞の大きさとか、書体とか(書体そのものには拘らないですけど、「変える」ポイントは示したい)。配置とか、それも考えて作られているものなわけで、それが英語版で必ずしも反映されてはいなかったり、英語の置き換え方は違う形になったりするし。オリジナルの「それ」を見た上で、キープするかしないかは、向こうの判断でいいと思うけれど、見ておいて欲しいわけよ。

マンガだアニメだと(一部に)持てはやされているけれど、マンガの受けても送り手も、マンガというモノに対する認識が違うんだな、「ああ、そっか~」と思う瞬間。海外を相手にマンガの仕事していると、時々出くわす、チョット悲しい一瞬。

日本の編集者がこの話を聞いたら何というか、…あんまり気にしないかな、とも思う、怖いけど。今のところ翻訳のクオリティーに関して、熱心とは思えないんだな…。でも、それがまずいって事は分かると思うよ。

おまえのマンガごとき、タダのラブコメで何をこだわってるんだ、大した違いは無いじゃないか、といわれそうだし、実際そうなんだけど…しかしそれでも、てのがマイナー作家のジレンマってかね。

Eちゃんが「オリジナルと(英訳版が)全然違うじゃねーか!」と例に挙げた部分が「うんうん」だったので、引用します。Eちゃんのドイツ語と英語訳付き。彼女はウィーンっ子だけど、英語はかなり堪能。

Example:

月… (Mond / Moon)

月の…王子様 (Mond ... prinz / Moon ... prince)

…なんてバカな言葉が頭の中に浮かぶほどに (... was für ein dämlicher Ausdruck, der mir da einfällt / ... what a stupid line to pop into my head)

彼は月に似合っていて… (Weil der Mond zu ihm passt / beacuse the moon suits him ...)

So the English translation I got was:

The moon ...
It's as if he were the prince of the moon ...
It's so stupid ... how he looks like a prince of the moon ...
... there's really no other way I could begin to describe it.

WHAT?!

That's ... IDEK!!! I can't find words right now ... it's just ... fucking my brain over so badly right now.

The German/English in the brackets is a pretty lose translation, but you get my point ...

うん、分かるよ。てか、そう思ったんだけどさ、訳文は長くてくどい感じがするし。でも相手はネイティヴだから折れたさ。彼の感覚では、コレが正しかったんだと思う。でも、そう思わない人もいるわけだし(チョットうれしい)、どちらが正しいかは分からないけど、だからこそ、せめてオリジナルに当たって欲しいと思うのね。

↓くだんのシーン

ドイツ版に関してはEちゃんに日本語版の同人誌を献本(笑)したので、彼女はそっちから訳すとのこと。そうね、1巻2巻あたりは、こちらも「英訳チェック」始めたばっかりで遠慮する部分も結構あったから、離れている部分少なくないかも。それが「不実な美女」なのかどうかは私には分からない…不実な醜女かもしれないじゃん。てか、送り手として、たとえ美女でも「この不実さは違う!」てことだってあるんだよ。

化粧の結果の美しさじゃなくて、中身まで別人になっちゃうと、そりゃ待てよ、ていうか…(何の例えなんだ?)

それ以前に、「月とすっぽん」を「月とすっぽんぽん」って訳した人だからなあ…
"The moon and a naked boy."
(文脈からみて、意味が通らないのではありませんか、と言いたい)